心の静けさとアルゼンチン音楽

もう何年も前から心に安らいだ穏やかさが持てない。心が落ち着く場所を探し求めて彷徨い歩いたが見つける事が出来なかった。
そして今、やっとそれを見つける事が出来ている。
それはピアノの前だ。
ピアノを弾きながらアルフォンシーナと海を歌っている時に感じる深い響きと静けさは私が長い間探し求めていた安らぎだった。
チャマメのアコーディオン演奏とアコーディオンの弾き語りを長い間して来て、由美かおるさんが教えて欲しいとレッスンにいらした事もあったが、アコーディオンでの弾き語りではなかなか静けさを表現するのは難しい。

チャマメやサンバなどアルゼンチン音楽のピアノ弾き語りは息抜きでよく弾いていたが、今、これほど自分の心としっくりし始めたのは、何故だろう…。
アコーディオンで仕事を始める前私は12年ほど作曲の仕事やピアノ弾き語りをしていた。昔取った杵柄とはいえ、やっと調子を取り戻して来た感じだ。
最近アコーディオンでチャマメを弾いてみようと研究している青年が出て来たという噂を日本のアコーディオン仲間から聞いている。今までもチャマメに興味があってアルゼンチンに向かうという人たちは何人かいて必ずメールをくれたが今回の噂の青年はメールさえ寄こさないのでどんな気持ちでチャマメに向かっているのか全く分からない。
私がチャマメを伝授した生徒は、アルゼンチンに渡り交流して来たがプロ奏者にはなってくれなかった。噂に聞く青年がチャマメのプロ奏者になるかは分からないが、
私はそろそろアコーディオンチャマメの普及活動から自由になれる時かも知れない。
アルフォンシーナと海は2003年のメジャーレーベルからチャマメCDをリリース出来て、ホールコンサートもたくさんやらせて頂いた頃から歌っているが、私自身年齢を重ねて、音楽の響きが深くなって来ている。
アルゼンチン音楽は人生の苦悩を知ってこそ分かってくる音楽だ。この深さを少しピアノと歌で表現してみたくなった。