Chamamé

チャマメとは・・・

 チャマメ、この我々日本人にとって親しみやすい名前のついた音楽はアルゼンチン北東部、リトラール地方が発祥の地である。
 恩師ラウル・バルボサ氏によるとチャマメとはグアラニ語(現地のインディアン)で「気軽にこしらえたもの」という意味だとのこと。
 ヨーロッパからこの地にやってきた人々が持っていたポルカ・マズルカのリズムが現地のインディアンのリズムと混ざりあってできた6/8 で二拍と三拍 が同時進行している複合リズムのダンス音楽である。
  コリエンテス・ミシオネス・エントレリオスの人々は週末になるとチャマメを踊り盛り上がる。 アルゼンチンというとタンゴの国というイメージだが実際のところタンゴ奏者よりチャマメ奏者のほうが仕事は多いらしい。
  チャマメは複合リズムであるうえにシンコペーションが多く、かつてのオスバルト プグリエーセ楽団のバンドネオン奏者はリトラールのバンドネオン奏者たちが楽々とチャマメをひくのを大変驚いていたと言う話が残っている。
  チャマメを私が弾いていて一番好きなところは一曲の中にスーッと居眠りするような穏やかな静けさの演奏状態があったと思うと急に情熱的に走り出すようなところがあるところだ。
 リズムはずっと流れていきながらもとても人間的にゆれている音楽だと思う。
 私はレッスン中マエストロ・バルボーサと共に音を出していてそんな瞬間はともかくしあわせだった。
 パラグァイ音楽とはとても似ているがこの呼吸はかなり違うようである。チャマメの呼吸を知った人はもうこの音楽の強い魅力にのめり込んでいくと思う。
 チャマメの代表的奏者は世界的に活躍しているラウル・バルボーサ Granja SanAntonioの作者タラーゴ・ロス(ディアトニックアコーディオン) その息子で現役の Maria Vaの作者アントニオ・タラーゴ・ロス(ディアトニックアコーディオン) ワイルドな長髪のチャンゴ・エスパシウク(アコーディオン) クァルテット・サンタアナの歴史を継ぐカルロス・タラベラとクァルテット・サンタアナ等がいる。
 そしてラウル・バルボーサ氏の「Yukiは日本にチャマメを持って帰りみんなにその魅力を伝えてほしい」との言葉を胸に私も頑張って…いや楽しく楽しくみなさんに聞いていただきたいと思ってます。
   牧田ゆき